第17章 親友の涙
何度も尋ねて押し慣れたはずの
ユウの家のインターフォンを
こんなに緊張して押すのは初めてのことだ。
ピンポーン…
「はーい。アキ、いらっしゃい。
ごめんっ、いま火かけっ放しなんだよね。
適当にあがって~」
「あーすまん。
ずっと返しそびれてた鍵あんだけど」
「そこの鍵置きに入れて置いて~」
「了解」
玄関棚にある鍵置きに
借りっぱなしだった鍵を元に戻し、
もう片方の手にある紙袋には
祝杯の赤ワインが入ってある。
今日はユウに
あのことを報告したくてやって来た。
湊にも声を掛けたのだが
恥ずかしい、
といって断られてしまった。
お邪魔しますといってリビングの奥へと進んだ。