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【R18】Querer【創作BL】

第16章 清算





千恵美は反省しているから俺は許す。



涙を流し続ける頬を拭うのは
別れた夫のやるべきことじゃないと
分かりつつ、

身体が勝手に動くのは…本能なのだろうか。





「…武明って…本当に誑かすのが上手ね」


「たらしって言いたいのか?」


「ええ…。ホントそう。
いい女で決着つけようって思ってたのに
結局こんなに泣いちゃって
…ホント情けないわ」


「俺の前じゃそう泣かなかっただろ。
毎回メソメソ泣かれるよりはマシだ」


「寄り戻したくなった?」


「あるかボケ」





冗談で言ってることを軽くあしらい、
お互いに息を吐くように笑う。





「お金のことは大丈夫。
自分で何とかできる。
今はね、
パートから正職員になれる
事務職で働いているの」


「後からせがまれても絶対出さんぞ」


「ええ。佑都と二度と逢わないのなら
連絡先を今ここで消すわ。
私のために、貴方の未来のためにも…」





千恵美は拭った涙で切り替えた顔をして、
携帯を取り出す。

お互いの連絡先を消して、
これが最後の別れということだ。


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