第16章 清算
千恵美は深々と頭を下げる。
涙を流しているかは分からないが、
反省しているんだなってことは
ひとめ顔を見て、そう思っていた。
「もういい…。
それを責めに来たんじゃない」
「でも…っ…、
一体誰の子なんだとか
いつ知り合った男なのかとか
浮気したのはそれだけだったのとか、
私のこと、なにも…っ…」
それはどうでもいい、と口から出そうになった。
一度だけでも二度やったのも変わらない。
結果的には同罪なのだ。
正直、佑都の種子が誰だろうと構わない。
俺のではないのだとハッキリしているからだ。
家を出て行くときも
千恵美は事情が何とか言っていた。
ここは…聞くのが正解なのだろうか。
「その男とは…今も、連絡取ってるのか?」
話せよ、聞いてやるよ、
といえば
なかなか話したがらないのが厄介なところ。
言葉を選んで口にすると、
千恵美は首を横に振った。