第16章 清算
仕事終わりに、
湊に連絡して車で拾い上げる。
助手席には湊が座っており、
ブリッジがみえる
程よい灯りの夜景スポットに車を停めた。
「湊…。教えてくれないか?」
「課長からお話しを伺ったんですね」
周りにはカップルなどが疎らにおり、
夜景を楽しんでいる。
静かな口を開き、湊に目をやった。
「何も相談せずすみませんでした。
謹慎していたとき、
これ以上会社に迷惑かけたくないし、
新しい仕事のほうが良いかなって
求人を探していたんです。
牛垣主任と
一夜だけでも関係を持てただけでも
嬉しかったんですけど…、
こんな風になるとは思わなくって。
けど、
だからこそ
一緒にいたらダメだと思ったんです」
自宅謹慎を命じられていた時から
すでに考えていた。
まわりに少なくとも受け入れられたのに
会社を辞めたいという湊。
俺と一緒にいたらダメになるって…
そんな理由で別れたくない。
「俺がおまえをダメにするってのか?
甘やかしてるつもりはないが…」
「そうじゃなくって。
俺…、社内恋愛とか
上手にできる気がしないんです。
片想いなら隠せるとは思うんですけど…」
「?」
湊は頬を染めて、チラッと俺を見やる。