第15章 帰る家
──…
月明りの部屋。
裸でベッドに横たわり
湊を真正面から抱き締めて
余韻に浸っていると…
「牛垣主任…、
一度ご自宅に帰られた方が
良いんじゃないですか?」
「…分かってはいるが…」
「もし早くご実家に帰っていたとして、
ポストのなか
郵便物や新聞紙がいっぱい詰まっていたら
近所の目とかつきますよ」
近所の問題か。
…確かに、それは考えただけで面倒臭い。
「…分かった。帰る」
「えっ、今ですか?
もう遅いですよ…」
「行動は早いに越したことないだろ。
今日も泊まったら
此処にずっと居座りそうだ。
…抱いたばっかで寂しい想いさせちまうけど、
きちんとケリ付けてくるよ」
ベッドから出て服に着替える。
湊は起き上がるのも気だるそうで
綺麗な額にキスを残し、
数週間ぶりに
自宅へ帰ったのであった。