第15章 帰る家
湊をなるべく
一人にしないように目を見張る。
俺の部署はいいとしても
不特定多数の他部署の奴らが問題だ。
(ヒソヒソを噂立てやがって…。
他人を評価する前に
自分はそれだけ立派に生きてんのかよ)
同性愛者を悪者みたいに陰口を叩く奴ら。
嫌いとまではいかないが偏見をいう奴ら。
一斉メールで
湊は公然でカミングアウトしたのも同じ。
性的指向の告白。
見方を変えれば…、
俺は胸がでかい女が好きだとか
週4~5回はオナニーしてるとか
痴漢モノのAVが好きだとか
公言しているのと同じこと。
(オープンな奴ならまだしも
消極的な奴らにしたら辛いよな…。
湊の親御さんは湊が同性愛者だと言うことを
知っているのだろうか?)
まだ家に帰って
離婚届も出してもないし、
実家の両親にも報告はまだ。
会社や保険の届出も変更しなければ。
自分のことはひとまず決着したとして、
湊のことを考えてしまうのであった。