第13章 初恋
室内シューズを履いて、
体育館に行くとキュッキュッとした靴の音や
楽しんでいる人たちの声が聞こえる。
「お。やってるやってる」
「ボール速ッ」
内野と外野でボールを回し、
隙あらば攻撃。
狙われた相手はボールを取るか避けるか。
ボスッと音を立ててキャッチした瞬間、
歓声が上がった。
「ういー」
「おぉ、カッコイイ…。
普通に女子も闘ってるんですね。強い」
邪魔にならないところで観戦していると、
よく顔の知る勘太が近付いてきた。
「ちぃっす!アキさんっ」
「ちっす。
こいつは会社の部下の湊。
こっちが勘太。
初心者だが混ぜてもらってもいいか?」
「お!新入りっすね!大歓迎です!
あーいま、
1セット目なんで軽く肩慣らししましょっかね」
「そうだな」
ドッジボールは割と激しい運動のため、
念入りに準備運動して筋肉をほぐしていく。
「ボールを投げるから肩回りは重要だ。
俺の動きを真似して動かしてみろ」
「はい」
「突き指をしたら
仕事復帰したのにキーボード入力も
ままならないからな。
手首と指は常に慣らしておけ」
「はい」