第13章 初恋
上半身以外にも腰回りや股関節を動かし、
しっかりランニングして体の調子を整える。
「湊は小学校で
一番ドッジボールが好きだったのか?」
「俺は観戦が好きな方でして。
サッカーでも野球でもバスケでも、
真剣で楽しそうなのが見るのが好きでした」
「観戦するのも楽しいよな。
ならボールを投げるのは殆どなかったのか」
「はい。牛垣主任は
ドッジボール部だった頃、
エースだったんですか?」
「俺はエースっていうより
防御に極振りしてたんだ。
剛速球や癖のある友達に
左右から投げてもらって、
キャッチアンドスローしまくってた」
ドッジボール全盛期は日没まで
夢中になっていた時代。
強い友達がいるときは
防御力をひたすら極め、
一人のときは
壁やアスレチックに向かって投げ、
攻撃力や精度を高めたりしていた。
「今はドッジボール選手として登録とか
されていないんですか?」
「したいとは思ったんだが、
こうやって遊べる場が
あるからいいと思ったんだ。
よし。
じゃあキャッチボールして
投げ方とかチェックして、肩を慣らしていくか」
「お願いしますっ」
パス送球はあくまで肩慣らし。
相手の胸に向かって正確に投げることだ。