第13章 初恋
午前診療を終えた。
ユウには異常なし!ということを伝え、
昼は外食にしようか家でなにか作るか
車の中に戻って考える。
「アポなしでお邪魔するのはないな…」
ふと考えれば湊のこと。
会いたい。
話したい。
謝りたい。
好きだって告白したい。
「あ~くそ。何なんだよこの感情!!
うじうじうじうじ俺はウジムシじゃねえぞ!!
ムシになってたまるかァっ」
また、勢いまかせに発信ボタンを押す。
受話器から鳴る音が妙に緊張する。
(会わなきゃ何も始まんねえんだ…っ…)
出てくれ。
湊。
「ぁ……湊、か…?」
湊は電話に出てくれた。
待ったのは数秒だったけれど長く感じた。
『あ…もしもし…。お疲れさまです』
「いま電話しても平気か?」
『はい。大丈夫ですけど…。
あっ、会社の件。
月曜日から、よろしくお願いします』
湊は来週の月曜日から仕事に復帰予定だ。
不快に思っている奴もいるだろうが、
少なくとも俺の部署は出迎える準備は万端。