第12章 知らせ
しっかり睡眠リズムをとらせているから
抗えないのだろう。
目が半開きで絵本を見ている。
「すー……すー…」
すっかり瞼を下ろして、規制のよい寝息。
むにゃむにゃして
何か食べている夢でも見ているのだろうか。
夢の中でも届いていると思って
最後まで読み聞かせ、
仰向けに寝返りさせてから部屋を出て行く。
「温め直そうか?」
「いやいい。おまえも寝てないんだろ?
昨日は帰らなくて悪かった」
「ううん。武明のことだから
私たちに心配掛けたくないものね。
お風呂…どうする?」
「今日はシャワーだけでいい」
昨日、というか今日はあまり眠れなかった。
湊はあの後、
家帰ってちゃんと寝たのだろうか。
飯とかもちゃんと食べているのだろうか。
(…あれは浮気、不倫となるのか…)
男同士でキスをした。
ラブホテルに呼び出してSEXまがいをした。
肛門は未遂だが、
最後まで抱こうとした気持ちがあった。
(だとしても。言えるわけがねぇ…)
湊へ抱いてしまった気持ちも何もかも。
色んな女と遊んできたのに、
まさか…男…、
部下相手に本気になるなんて。
こんな気持ち、
誰にも言えるはずがなかった。