第12章 知らせ
佑都は自分の特等席に座り、
俺が食べている姿をにこにこと眺めている。
「佑都。もう少しで針が
九時のところにくっ付いちゃうぞ」
「まだ眠くないもんっ」
「子供は睡眠を十分にとらないと
寝不足になるんだ。
ママに本読んでもらってもう寝ろ。
俺もすぐ寝るから」
「パパに絵本呼んでもらうのっ」
「昨日の夜、
武明さん帰って来なかったでしょ?
だから今日は
パパに絶対寝かせてもらうんだって
幼稚園帰ってから張りきっちゃってて」
「朝さんざん構ってやったろ…」
朝帰りは一度や二度じゃない。
ユウの家で寝泊まりしたことだってあるのに。
呆れた声を出すと
佑都はぷくーっと頬を膨らませる。
構ってやるの意味が分かっているのか。
それとも声質から感じ取ったのか。
こんなに好かれると嬉しい反面、少々困る。
「あーもうお腹いっぱい。
じゃあもう寝るか」
「まだいっぱい残してるー」
「外で美味しいもの食べてきたんだ。
今日は佑都の部屋で寝ようかな」
「まだお風呂入ってないでしょー?」
「パパは忙しいからいっぱいやることあるんだ。
佑都、あんまりママを困らせるなよ。
ほら、抱っこしてベッドまで運んでやる」
そういうと甘えたように腕を伸ばしてきて、
抱きかかえると安心したのか
目がうつらうつらとしていた。