第12章 知らせ
薬もすっかり抜けたので、
連絡してから仕事終わりに警察署に寄った。
嫌なことは早く終わらせたい。
湊も件もそうだが
一つ一つ片付けなけりゃならないことがある。
「なるほど。
ご協力ありがとうございました」
「長瀬は…なにか言ってましたか?」
「牛垣さんに会って話したいと言っています。
話せば分かり合えると。
誘ってきたのは貴方の方だと。
いかがされますか?」
「一発頭突きできることが叶うのなら
会いたいです」
「ははは。そういうことなら見逃せませんな。
気持ちはお察ししますが…。
再び会うとすれば法廷になるでしょう」
これから長瀬の判決が下るまでの準備期間。
長瀬は今も身柄を拘束されている。
強制わいせつ罪よりさらに重い、
強制性交等罪で5年以上の有期懲役。
減刑がなければ
5年~20年の範囲で量刑が決まる
と教えてくれた。
「はあ~…家に帰るか。腹減った」
千恵美には少し遅くなると伝えていた。
まだ終わってないが伝えることは全て伝えた。
刑の重さがすべてじゃない。
恨みはあるが、
なにより重要なのが長瀬が反省すること。
お腹を空かして車を走らせ、
当たり前のように明かりがついた家に帰宅した。