第11章 男の身体 *
1時間もしないうちに二重扉が開き、
湊は俺の企みも知らず
まんまと顔をのぞかせた。
「牛垣しゅに…えっ!?
どうしたんですかその痣!…うわっ…」
俺の傷付いた身体や顔をみて懐に近付いて来た。
それを良いことに勢いまかせに腕を引き、
ベッドの上に押し倒す。
「いまの俺は長瀬に媚薬を盛られて
正気じゃない。
刑事さんだって抱こうとしたんだ」
「…?!」
「おまえ、抱かれる方なんだろ?
…湊…」
ずっと気になっていた少し厚ぼったい唇。
押し付けて感触を確かめ、
弾力を弄ぶように啄む。
「んんっ…」
男同士のキスに嫌悪感はない。
むしろ興奮している。
「柔らかいな、おまえの唇…」
今度は味わうように唇を甘噛みし、
開いた唇のあいだに舌を這わせにいった。