第11章 男の身体 *
1階のフロント宛に
待ち合わせの変更点を伝え、
濡れた身体のままベッドに座り込む。
「寒ィ…」
身体をちゃんと拭かなかったから床が濡れている。
髪からもポタポタ水滴が落ちてきて、
こんなんじゃ風邪を引いてもおかしくない。
「だらしない…」
身体を動かしたくない。
動ける体力は残っているが使い果たしたくない。
…湊を抱きたい。
アイツを抱いて確かめたい。
湊には見たときからずっと妙な感情がある。
同性愛者だと知って、
男とSEXしたと聞いて、
長瀬と恋人だったと聞いて、
惚れた相手を語ったときの
湊の顔が頭から離れない。
これが恋、なのか。
ただの嫉妬、なのか。
それとも別の、なにかなのか。
だから俺は、湊を抱いて知りたかった。
今まで女にそれを求めてきたように、
身体で繋がれば…
分かると思ったからだ。