第11章 男の身体 *
──…
……
「ぶハァ…!!っ…我慢大会じゃねえんだ、
自害しかけてどうする…っ…」
一人でどうにかなると思ったが
大きな間違えだった。
死線をくぐろうとする自分がいる。
狂った気を起こさないように
沈んだバスタブから出て、
バスタオルだけ手にして
身体を拭かないまま部屋に向かい、
放り投げたカバンの中にあった携帯を開いた。
「…、」
刑事に言われたように嫁に頼るのが最もだ。
だが千恵美とは、
DNA親子鑑定を出したときから
今まで通り普通に日常を過ごせているものの
ギクシャクした空気が残る。
昔、関係のあった女とは全員縁を切った。
残るは男友達…は違う。
そっちの方向に考えている時点で危険信号だ。
「デリヘル呼んで処理してもらうのが…」
目に止まった一人の名前。
生まれた時から男しか愛せず、
男とSEXして喜びを感じ、
長瀬にケツを使われたことがある男。
「湊…」
迷わず発信ボタンを押した俺は、
どうかしていた。