第11章 男の身体 *
ヘルメットをずっぽり着用させられ、
二輪車通行規制区間を避けた通りを
赤い色のバイクが颯爽と深夜の街を駆ける。
「はい到着!
もうこれ以上は俺はしてやれねぇからなっ。
受付だけでも男二人でやりたくねぇからな!」
「あぁ…。
バイクの振動で、もうひと粘り出来そうだ」
「おぉい!?漏らしてねぇよな!?
嘘でも漏らしてねぇよなあ!?」
「おまえが大人しく身体貸してくれたおかげで
妙な気分も多少は治まったんだ。
…感謝してる。
今度礼をするから考えておけ。
今日は、急に呼び出したりしてすまなかった」
「結構でかい貸しだからなっ、これ!
風呂入っても溺れんなよ!?」
「ああ、…気を付ける」
軽い別れの挨拶をして、
俺は一人でラブホテルに入る。
ビジネスホテルを選ばなかったのは
防音性の不安や
汚染してしまう可能性があったからだ。
豪華なエントランスを進み、
受付パネルで選択可能な部屋を選ぶ。
気を鎮めるため、青い部屋にしよう…。
光る矢印の方向に進んで
エレベーターに乗り込んだのであった。