第10章 取り調べ
壁時計を目にやると、
深夜0時を回ろうとしていた。
「俺の…部下が、
会社のメールを使って何者かに傷付けられ、
犯人捜しのために
部下と関係を持っていた長瀬と、
内線で、連絡を…取りました。
今日その夜、
レストランで食事をすることになって、
結局犯人にはたどり着くことが…できなくて、
食事が終わった後、
長瀬が…、部下に返したいものがあると。
それでマンションまで、
ついて、行きました…」
「関係者…といいますか。
長瀬のマンションに入る前、
ある人物に連絡を取りましたよね?
それは何故ですか?」
「それは…」
長瀬の部屋に入る前、
エントランスで
嫁に連絡していいかと嘘をついた。
「…用心のためです」
「つまりそれは長瀬の部屋に入る前から
長瀬の好意に気付いていた、
ということでしょうか?」
好意、というものは様々な段階がある。
一般的な好いているなのか、
恋愛感情に似たそれなのか。
レストランではほんの少し感じた。
タクシーでは必要以上に距離を縮めてきて、
それを更に濃厚に感じとった。
長瀬のそれは…、