第9章 濁音 *
しかし身体は相反して、
媚薬という熱に浮かされてしまっている。
「ハァ…ッ」
気持ち悪いのに感じさせられる。
必要な呼吸といっしょに
妙な声も上げてしまいそうになる。
「ハァ…ッんグゥ」
「どんなに強がった言葉を出せても
顔は蕩けきってますね…。
どんな顔してるか、
ご自分で確認してみます?」
長瀬は自分の携帯を取り出した。
カシャカシャカチャと連写して撮影し、
一番よく撮れたというものを
俺にみせてきた。
「ほら、ちゃんと見てくださいよ。
俺と牛垣さんのでミルク塗れになって
家畜のウシになっている姿。
会社でも正しくそんな感じなのにね!
あはははは!」
「……、」
許せねえ。
俺は家畜なんかじゃない。
誰にも飼われてなんかいない。
俺は俺の実力で…、
「っ…」
「俺が大切に可愛がってあげますから。
牛垣さん…、
俺がずーっと愛してあげますよ」
長瀬はそういって、
穴に更なる割合を占める玩具を手にした。