第9章 濁音 *
薄っぺらい口で
俺の培ってきた努力を全否定しやがった。
プライドを滅茶苦茶にされて気分だが、
それ以上に嫌いだ。
こんな奴。
「どうしました?
何も言えなくなっちゃいましたか?
…大丈夫ですよ。
いま楽にしてあげますからね。
貴方は会社いても、
俺に飼われてるだけなんです。
もう何も努力しなくでいいんですから」
長瀬は小瓶の蓋を開ける。
自白剤の部類だろうか。
その薬で俺の精神を壊して、
大人の玩具で俺を拷問するというわけか。
「今なら大目にみてやる。
殴られたことも暴言吐かれたことも
見逃してやるから
これ以上、馬鹿な真似は止めろ」
「この状況で危ないのは貴方なんですよ?
俺がそれを聞き入れると思います?
不用心に男の部屋あがるなんて、
俺に抱かれたいって言っているのと同じです。
見てください。
これは気持ち良くなれる薬です。
牛垣さん…、
こっちの方は処女らしいから
俺がたっぷり解してあげますね」
「触るなッ!ぐッ」
小瓶を持った長瀬は
俺の顎を掴んで
それを口の中に流し込んできた。