第8章 白濁
リビングまで進むと、
モノトーンでお洒落な家具があり
天井にはアンティークの照明。
その奥には、
夜の景色が一望できる開放的な窓が広がる。
「俺の好きな雰囲気の色合いだな。
一人暮らしは長いのか?」
「高校1、2年の時に
急に一人暮らししたくなって。
ここに引っ越してきたのは
かれこれ4年くらいになりますけど。
牛垣さんも一人暮らしの時期、
あったんですか?」
「大学の時に家を出たから、
3年は一人で何でもやってた。
副部長の息子は自炊なんてしやしないか?」
「聞き捨てならないですね~。
俺だって週の1~2週は
米研いだりしてましたよ」
「それは感心だ」
リビングを一通り見渡していると、
長瀬は湊に返しそびれたものを渡す前に
見せたいものがあるという部屋の前まで来た。
「…自分で開けろと?」
「はい!牛垣さんには是非、見といて欲しくて」
「どんな自慢なものなんだ?
俺をがっかりさせたら…──」
押した扉の先には、
壁や天井の一面に
俺がいた。