第8章 白濁
「へえ、キッカケは
お腹の中の赤ちゃんですか。
それも愛のカタチってやつですね。
お子さんの名前、なんて言うんですか?」
「佑都だ」
「わぁ~お!
じゃあ俺と一文字違いだ!
俺の名前、ユウマっていうんですけど
漢字が由真だからよく間違えられちゃって。
名付け親は牛垣さんがされたんですか?」
「そうだ」
「ちなみに名前の由来って聞いちゃっても?」
長瀬はよく喋る。
湊が長瀬のことを褒めていたのを思い出す。
真っすぐで明るくて、
とても大切にしてくれた奴だったと。
湊とは対照的性格で
仲良くなったのも自然と頷けた。
「名前の由来は…響きと呼びやすさだ。
俺の友人にユウって奴がいて、
呼びやすいし響きも良いと思ってな」
「そうなんですね。
俺は両親の名前を一文字ずつとって
付けられたんです。
これも何かの縁ですし、
俺も湊みたいに
下の名前で呼んでくれると嬉しいんですけど」
「仮にも部署が違うし、
副部長の息子と知ってそう易々と…」
「いいじゃないですか~。
父も牛垣さんのこと気に入ってるんです。
若くて格好良くて仕事もバリバリできるって!
前向きに検討してくださいねっ」
「んー…」
曖昧な返事をして濁すことにした。