第8章 白濁
部下たちの想いを確認したが、
一向に足どりが掴めない犯人さがし。
今度はなにを仕掛けてくるか分からない。
湊の家に行きたいが、
接触は避けろと俺の勘が働いている。
「長瀬にも聞くか…」
少しでも手掛かりがほしい。
前の会社で関係を持っていたという長瀬由真。
湊は誰なのかもまったく分からない
と話していた。
だが、長瀬は副社長の息子であり、
なにか父親から
聞いたりしているのかもしれない。
そう思った俺は、
電話を取り次いでもらい…
長瀬が手配したレストランで会うこととなった。
「19時半に予約した長瀬ですが」
「長瀬様ですね。承っております。
お席へご案内いたします」
夏の暑苦しいこの時期。
艶のあるジャケットと革靴をぴっちり着用し、
正面を通って上質な個室へと案内された。