第1章 落ちて
雨が降ってきた。
雨は瞬く間に強く、視界を鈍らせる。
私はしゃがんだ体をそのまま横に倒し
刺さるような雨を全身で感じた。
歩行者も多い道だが、お構い無しに私は雨に濡らされた。
嘘だと信じたかった。
私にとって唯一愛を感じられる場所。
嘘だと信じたかった。
だがあの男はきっと本当に殺した。なぜか私にはそう感じられるのだ。
涙なのか雨なのか分からないけど私はぐちゃぐちゃになりながら泣いた。
近くのレストランの看板に光が点った。
いつもは、ここから近くの駅にお兄さんが迎えに来てくれる。
だがいつもの赤い車は訪れなかった。
時刻は18:00をすぎた頃だった。