第1章 落ちて
痛みで思わずしゃがみこんでしまう。
幸い貫通はせず、弾が外側を掠めた程だったが、
酷い出血とやけどの痛みで涙を浮かべてしまう。
「ハンッ!お前が男だったら迷わず殺していた
お前の両親が何をしていたかは知ってるだろうが、何もお前までを殺すつもりでは無い。」
その言葉を聞いて私は少し安心してしまった。
「ただ死にたくなるよう追い込むまでだ」
え?
私はその言葉に顔を上げる。
男は私の目線までしゃがみこみ、耳元でこう囁いた。
「かあちゃんの兄さんはもう死んだよ」
男はそのまま立ち上がり、私とすれ違うようにして去っていった。
傷口を押さえた手からは、まだ止まらない血がどくどく流れ出た。