第1章 落ちて
1か月前、両親が殺された。
理由はわかっていた。
誰かの恨みを買ったのだろう。
両親はギャングだということは誰にも言っていないので、皆は無差別殺人なのだろうと心を痛めていた。
私は母の兄の家に引き取られた。まだ17の歳だからと、学校にも通わなかった私を優しく迎え入れてくれた。
母の兄はひとり暮らしをしていた。私は少しでも力になれるようにと、朝から晩まで働いて、自分がギャングの一員だと言うことは忘れていた。
そしてまた、両親に恨みをもった人間が現れた。
恨んでいる人間が屍になったので、私に回ってきたのだろう。
「お前はどうやら、学校にも通ってないらしいな?」
目の前の男が蔑み笑う。
2、3メートル離れているが、彼の銃口は私の脳天を指していた。
「綺麗な服まで着せられてよお、あの男はどこからそんな金湧いてんだろうなァ?」
あの男、とは恐らく母の兄のことだろう。
彼はギャングでは無い。彼は実家のバイク屋の跡を継いでいる。
自分の力で、不正無しに、真面目に働いている。
そんな彼を私は尊敬していたし、憧れていた。
なのに今目の前の男に馬鹿にされたような物言いをされ、まるで私の両親のような汚い金を集めているかのような言い方をされ、私は腹を立ててしまった。
男を睨んで、1歩足を前に出す。
瞬間、足首を銃で射抜かれた。