第4章 揺らして
フーゴside
「いいの・・・!ぜひ遊びに行きたい!」
そうはしゃぐ彼女は酷く輝いて見えて、うんざりした。
自分でも分からない。
ナマエが、ブチャラティへのプレゼントを買っている時だって
なぜか「帰りたい」とひたすらに思ってしまっていた。
いつもはくだらない買い物に付き合わされている時でも「楽しい」とか「面白い」とかそんなことしか考えていなかったのに。
ナマエといると時間が過ぎるのがあっという間に感じるんだ。でも、彼女が他の男といる今は。
いつも車内で流れる3分の音楽が一生続いているような感覚。
海沿いの道に終わりがないような気がする。
なんだかイライラしてきて、夜道の信号を無視してスピードをあげる。
クソ、ナマエのやつ、あいつ、明日休みだからって調子乗りやがって。
ブチャラティだってナマエに甘すぎるんだ。くそ、くそ、クソ!
家に着いて、車を停めて、エレベーターに入っても
いつも隣にいるはずのナマエが居なくてソワソワする。
僕はただのボディーガードなのに、なんでこうあいつに振り回されないといけないんだ。
なんで今あいつのことを考えてイライラしてるんだ?
もう訳が分からない。早く寝よう。