第4章 揺らして
1人で静かに車のドアを開くフーゴ。
その後ろ姿はどこか寂しそうにも見えた。
「フーゴ!」
私の声を聞いて、ドアを閉めようとする手が止まった。
「今日はありがとう。いろいろお世話になりました」
顔すら見えないけど、嫌われるのが怖くて、せめてお礼を・・・。
「いえ。また明日」
“また明日”
さっきまで傷んでいた胸も、その言葉で鼓膜が震えるだけで晴れる。
ゆっくり動き出した車ですらも愛おしく感じる。
消えるくらい小さくなるまで車を眺めていると、ブチャラティに肩を組まれた。
「さては、フーゴに惚れたか?」
悪戯にそう囁かれ、それがまた図星で
一瞬で顔が爆発したみたいに熱くなった。
ば、バレてたのか・・・。
いざそう直接言われると認めたくないけど、これは認めざるを得ないんだよ・・・それくらい、惚れてる。
「さ、さぁ・・・?」
誤魔化してみたけど、バレバレで
ブチャラティはニヤニヤしながら家に案内してくれた。