第3章 気付き
気絶をしたのか眠っていたのか分からなかったが、目が覚めるとそこは前に介抱された時と同じ、ソファの上だった。
「目が覚めたか。」
以前と同じところで、以前よりも優しい目で
ブチャラティが私を見ていた。
「また・・・助けられちゃったね、私」
ゆっくり起き上がると、机に置いてあったカップを私に差し出した。
「食うか?」
チョコレートのジェラートだ。私が落としたのを見ていたんだ。
ブチャラティは本当に気遣いが出来る。
「ありがとう。頂きます」
静かに口へ運ぼうとすると、騒がしい足音がこちらに向かってきた。
「ナマエッ!!」
バンッ!!!!
勢いよく開いた扉からは、息を荒くしたフーゴが入ってきた。
「不用意に出歩くなって言ったじゃあないですか!」
「!」
「おいフーゴ、そんな怒るなよ」
ブチャラティがそう言うと、チラッとブチャラティの方を見て、ため息をついた。
「ごめんなさい、フーゴ」
呆れたような顔をして近付いてくる。
ブチャラティはそんな様子のフーゴを不安そうな顔で見つめていた。
「ナマエ、あんまり心配かけないでください」
眉を下げて語りかけるような優しい声で言った。
昨日あんなことを考えていたせいか、鼓動が鳴り止まない。
「悪いがフーゴ、仕事に戻るからあとは頼んだぞ」
ブチャラティが席を立った。
「あっ!ブチャラティ」
「?」
「本当にありがとう・・・今度またちゃんとお礼させて」
「ありがとう。じゃあ、また」