第3章 気付き
しばらくすると玄関が開く音がして、2人分の足音が聞こえた。
チームのメンバー、とだけ聞かされていたから、誰が来るのかは知らなかったが、そこには顔見知りの人もいた。
「ブチャラティ!」
「ナマエ、元気そうじゃあないか」
久しぶりに出会ったブチャラティに思わず声をかけてしまう。ブチャラティは優しく微笑んで私の名を呼んだ。相変わらず紳士的で、少しキュンとする。
後ろから見えたのは身長の高い長髪の男の人で、私の顔をじっとみている。
「初めまして、ナマエです。」
私は見つめられるのに耐えかねてその人に手を差し伸べて挨拶をした。
ジョルノが、今夜は無礼講だと言ってくれていたので少しいつもよりフランクな気分になっていた。
「アバッキオだ。よろしく」
私の手を固く握り、挨拶を返してくれる。
見た目は怖い感じだけど、きっと根はいい人なんだろうな、とその握られた手から伝わった。
みんなが席について、使用人が豪華絢爛な食事とワインを用意してくれる。
フーゴが近くのワインボトルを手に取り、私のグラスに注いでくれた。
「あ、ありがとう、フーゴ」
「このくらいの量は飲めますか?」
少しだけ注いで確認してくれる。
みんなの半分くらいの量だけだったけれど、私はその量でも酔ってしまう自信があった。
いつもはこの度数のワインなら2、3口で酔ってしまうけど・・・久しぶりに飲むんだしきっと大丈夫だよね。
「うん、ありがとう」
飲めない、なんて言えるはずもなく、私はごく自然とワインを喉に流し込んだ。