第2章 ようこそ
時計の針が12:30を指す頃、ドアがノックされた。
肩を回して体をほぐしているとゆっくりとそのドアが開いた。
「お疲れ様です」
フーゴが私の隣でパソコンを少し覗き込む。
緊張がほぐれると自分がかなり空腹だったことに気づいて、また昨日みたいにお腹の音を聞かれるんじゃないかとヒヤヒヤした。
「食事にしましょうか。近くに美味しいリストランテがあるんです」
あ、また微笑んでくれた。
昨日より柔らかくなった気がする。それか、ずっとソワソワしてる私に気を使ってくれてるのかな?
「ありがとうございます」
アジトを出て少し歩くと、賑やかなリストランテが見えた。
いくら護衛だからといって、男の人と2人で食事なんて初めてだから緊張する。
緊張するに決まってる。まだ出会って数日の、しかもこんな優秀な人と食事なんて。
でもここでたくさん話せたらもっと仲良くなれるかも。ジョルノはしばらく任務もフーゴと一緒にして欲しいって言ってたから、しっかりコミュニケーション取れるくらいにはなっておかないと・・・。
「ナマエ、あっちのテラス席へ行きましょう。」
「あっ、うん!」
黙々と1人で考え込んでいたから、間抜けな返事をしてしまった。
フーゴは気にしない様子で進んでいく。
「お!フーゴとナマエちゃんじゃあねえか!」
聞き覚えのある声がして席を見ると、私たちのテーブルの隣の席に
見覚えのある帽子の人物が雑誌を持ってこちらを見ていた。
「ミスタ・・・今日は昼まででしたか?」
「思ったよりはやく仕上がったんだ。こっち座れよ」
フーゴがミスタさんのテーブルに着いたので私も隣に腰かける。
「ナマエちゃんは昼からもずっと仕事かぁ、始めのうちは大変だなあ」
「そうですね・・・」
ミスタさんの元にスパゲティが届き、続いて私たちの元にも届く。
「敬語なんか使うなよ、俺たち仕事仲間だろ?もしかしてフーゴにもまだ敬語使ってるのか?」
「そんな、一応上司ですし・・・」
「上司ィ?いやいや、ナマエちゃんの方が長いんじゃあ無いのか?ミョウジ家は代々組織に入ってんだろ?」
あ、そうだった。ミスタさんは笑いながらスパゲティを巻いて食べる。
「だったらミスタが敬語を使うべきじゃあないのか・・・」
「ん?」