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刹那

第2章 たった二人の兄妹


「お待たせ致しました」
朝餉を食べたあと、急いで部屋に戻り 袴に着替えて来たのだが やはり女性の支度は時間がかかるもの、待たせてしまったようだ。
すでに自分の馬は準備されていた。
「よい、行くぞ」
馬に跨がれば、信長に並ぶように葵が 信長の後ろを秀吉、葵の後ろを光秀が駆ける。

「お兄さまっ!競走です!」
そう言ってスピードを上げる。
「とんだ、お転婆娘め」
そう呟くと信長もスピードを上げる。
「あっ、御館様 お待ちくださいっ!姫様、危ないですから!もっとゆっくり!」
それを追うようにスピードを上げた秀吉が叫ぶ。秀吉に並走する光秀は、くくっと喉を鳴らすように笑う。
「困った姫君だ。流石は信長様の妹君」
「笑ってる場合じゃないだろっ!怪我をしたらどうする!」


一行は 広い野原にいた。奥には森林が見える。
「久しいな、羽黒」
信長の腕にとまる鷹は、主人同様に どこか威厳があり王者の風格を感じる。気高い鷹であった。葵が羽黒の首元を指で撫でてやると、気持ちよさそうに目を細める。その様子を くすくす と可笑しそうに笑っている葵をみた信長が呆れたように言う。
「羽黒、お前はよいのかそれで。昔から 葵にだけは甘いやつだな」
「ふふっ、可愛いじゃないですか。ねぇ?羽黒」
その言葉に益々呆れたようなため息をつく。
そんな二人の様子を離れたところから見ていた秀吉は、隣に佇む光秀に話しかける。
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