第3章 歯車
その頃本能寺。
信長は一人の女性に助けられていた。歳は葵と同じくらいに見える。
信長を助けた女性は 舞 と名乗った。
政宗と秀吉は、信長の命で 舞という女を追っていた。
「ったく、信長様から逃げるなんて……無礼にも程がある。」
「まぁ、いいじゃねぇか。信長様が気に入った女…ねぇ。面白くなりそうだな」
笑う政宗を睨みつけて秀吉は言う。
「あんな、不審な女を信用できるか!信長様は一体何をお考えなんだ…。」
馬を走らせながら最後の方は一人言になっている秀吉を無視する。すると、視界の先に一人の女を見つけた。
「おっ、あれじゃねぇか」
「間違いない」
一気に馬の速度を上げ、政宗は馬に一人の女をかっさらう。
悲鳴をあげた女が恐る恐る目を開けると、もうそこは馬上だった。
「おい、政宗!御館様が一応気に入られた女なんだ。乱暴に扱うなよ!」
「大丈夫だ、心配し過ぎなんだよ」
自分の頭上で交わされるやり取りに、
呆然としていた 舞は 我にかえると
「だれ!?は、離してっ!」
と叫んだ。
「俺か?俺は伊達政宗、そいつは豊臣秀吉だ!よろしくな」
「よろしくしない!」
「俺も不本意だが 信長様の命令だ、大人しく着いてこい」
抵抗も虚しく、問答無用で連れてかれる。
舞の叫びは、空に吸い込まれて行った。