第14章 親友からの電話
合宿が終わって。
東京都予選までは、あと1ヶ月ほど。
その前に、合宿メンバーでの練習会もあるけど。
音駒高校に戻ってから、また毎日の部活が始まる。
部活と。勉強と。たまに盛り上がる、マネージャー同士のメッセージのグループ。
今日も7時半までの部活を終えて。
ご飯を食べて、お風呂に入って。
部屋に戻ってスマホを見ると、見慣れた名前からの電話。
でも久しぶりの名前。
『もしもし? 』
“舞衣ー! きいてよー! ”
明るくて可愛い声。
"あっ、ごめん、今大丈夫だった? "
この、なんやかんや相手のことを思ってるとこも。相変わらず。
『ふふ、大丈夫だよ。どうしたの? 』
"きいてよー! "
可愛い声の相手は、美華。
小学校、中学校が一緒だった幼馴染で親友。
高校は、美華は戸美学園高校に行って私は音駒高校だったけど、今も連絡を取り合っている。
私がバレー部に入ってからは土日も練習だから、なかなか最近は会えない。でも、それまではよく遊んでいた。
"あのね、別れたの!! "
『...ええっ!? 』
久しぶりの親友からの言葉は、友達同士の会話では一大事の話題。
『なんだっけ...優くんだっけ? 』
"そう! 優! "
美華は高校に入って、バレー部の大将優くんという人と付き合ったらしい。
高2の時に1度だけ、2人がデートをしている時に偶然会ったことがある。その時にチラッと顔を見た。
背が高くて、私服もかっこよくて、すらっとしてて大人っぽくて。
なんだか印象に残っている。
『なんで? あんなに好きだったじゃん。』
"だってさぁ...。いーっつも部活ばっかりなんだもん。今月もデート無しだったんだよ? もう3ヶ月! 最後に遊びに行ったのいつ?ってかんじだよ! "
『そっかあ...。』
"全然時間取ろうとしないし、やっぱアソビだったのかなぁ...。"
『ええ? それはないでしょ? 』
でも、バレー部は忙しい。
私も入って初めて知った。
部活は平日はほぼ毎日、土日も練習、長期休みや連休は合宿もある。
『美華はこんなに良い子なんだから、もし浮気なんかしてたら私が優くんのところ乗り込んじゃうよ! 』
"舞衣〜! "