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黒尾くんと同級生ちゃん

第13章 夏の終わり


『え...。』


そんなふうに思ってもらえてたなんて、思わなかった。
全部、やらなきゃいけないと思ってたし。
自己満足みたいなところもあるなって、思ってたから。


「手抜いてるとこなんか、私は見たことないよ。だから、どんな気持ちがあっても舞衣ちゃんはちゃんと音駒の力になってるし。好きは好きで、いいんじゃない? 」


その言葉が嬉しすぎて。

好きでも、マネージャーやってていいんだって気持ちと。
頑張ってるのが報われた気持ちと。

嬉しいなぁ。


「頑張り屋の舞衣ちゃんに、おにぎりの差し入れで〜す。」
『雪絵ちゃん! 』
「あんたまた沢山...」


紙皿いっぱいのおにぎりを持ってきてくれた雪絵ちゃん。


「あ、潔子ちゃんもおいで〜」


雪絵ちゃんが、遠くの潔ちゃんを呼んで。
潔ちゃんも、仁花ちゃんも来てくれて。

真子ちゃんたちもきて、マネージャー大集合だ。


『みんなと一緒で楽しかったよー! ありがとう! 』
「...舞衣ちゃんって、いい子だよね。」
『そんなことないよ? みんなが優しいからでしょ? 』
「ね〜、最後だし、また黒尾くんの話聞かせてよ〜。いつ好きって気づいたの〜? 」
『ちょ、雪絵ちゃん、声! きこえる! 』
「あはは! 」


私は黒尾くんに聞こえないか、ちらりと黒尾くんの方を確認する。

黒尾くんは、月島くんや研磨くん達に絡んでいる。
木兎くんや澤村くんも。

楽しそう。


「あ、今見てたでしょ? 」
『え、みて、ない、』
「うそー! 」


あはは、なんてみんなで笑って。

忙しかったけど、楽しかった夏合宿。

来れてよかった。

みんなに会えてよかった。

音駒のみんなの練習を少しでも支えられたならよかった。


『...次集まるのは、烏野の予選の後、かな。』
「うん。そうだね。」


潔ちゃんにとって。最後の公式戦。
私達3年生にとっても。


「大丈夫。絶対、また来るから。」


潔ちゃんは、遠くを見つめて言った。
その目は、烏野の3年生を捉えている。


『うん、絶対また会おう。』


私達は、コートに出るわけじゃないけれど。
ここが私たちの最前線だからね。
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