第10章 夏合宿後半戦
「どうするの!? 付き合うの!? 」
かおりちゃんのそんな一言で。
布団に集まって、みんなでガールズトークがまた開催される。
『付き合う...? 』
「舞衣ちゃん、付き合ったことない? 」
『一応あるよ! 』
一応あるんだけど。
なんせ中学2年生の時の話だ。
しかも1週間で別れた。
だからキスはおろか、手を繋ぐことすらしなかった。
高校に入ってからは、黒尾くんばっかり見てたからなぁ...。
告白されたことも無いわけじゃないけど、話したことない人とか知らない人だから、断った。
今考えれば、どこかで黒尾くんが好きだったから断っていたのかもしれない。
『うーん...』
「舞衣ちゃんは、黒尾くんとどうなりたいの〜? 」
『えっ? 』
雪絵ちゃんにきかれた。
どうって...
『...今みたいに、そばにいれて仲良く話せればいいかなって...。』
「そっかあ〜。」
「...でも、」
潔ちゃんが口を開いた。
「多分、部活が終わったら、今みたいにずっと一緒にはいない...と思う。」
『...部活が終わったら...』
「うん。舞衣ちゃん、最近、朝から夕方までずっと黒尾くんと一緒だもんね。」
『...そうなんだよね。』
「今は部活の仲間だけど、終わったら、一緒に登下校も多分なくなるし、休みの日に1日一緒にいることもなくなるし...」
「あ〜、部活だと休みまで一緒だもんね〜。うちらも四六時中木兎の顔みてるし〜。」
たしかに。そこは盲点だった。
なんとなく永遠にも思えるこの時間は、刻々と終わりが近づいている。
毎日に夢中になると、つい忘れがちだけど。
なんやかんや、テスト期間もずっと一緒にいた。
でもそれは、バレー部だったから。
私個人と一緒にいてくれたわけではない。バレー部のため...
...自分で思ってて少し悲しくなってきた...。
「だから、これからもずっと一緒にいたいなら、付き合うっていうの、アリかなっておもう。」
『成程...。』
「なるほど〜。」
ここまで話したところで、部屋に戻ってきた真子ちゃん達が「消灯時間だよー」と声をかけてくれてお開きになった。
付き合いたいのかな。
黒尾くんと。
確かに今の関係を続けたい。
でも...
自問自答をしながら、いつの間にか眠りについてしまった。