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黒尾くんと同級生ちゃん

第2章 臨時マネージャーはじめました


次の日。
私が登校すると、今日も黒尾くんが机に突っ伏して...いなかった。
今日は体を起こし、椅子にだらけた体勢で寄りかかって、スマホをいじっている。


『おはよう。』
「おー。はよー。」


私が挨拶をすれば、黒尾くんは一瞬手を止めて私の方を見た。
いつもなら、朝はお互いに「おはよう」で終わり。たまに宿題を見せ合うくらい。
でも、今日は少し違った。
黒尾くんは、椅子に逆に跨るようにして、くるりと私の方に体を向けた。


「あのさ、倉尾さん。」
『ん? 』
「えーとさ...嫌なら断ってくれて全然構わないんだけど」


いつもの彼らしくない、歯切れの悪さ。


『何? 』
「あのー、さ、バレー部のマネージャーをね、やってくんないかなー...なんて。」
『え? 』


出てきたのは、予想だにしていなかった言葉。
マネージャー?
私が?


「今度、宮城で合同練習があって」
『この前言ってたやつだ。なんか因縁みたいな。』
「そうそう。烏野高校と。まぁ他にも何校か回るんだけど。」
『うん。』
「その数日だけでいいからさ、やってもらえたらなーって。」


えっと。


『私は暇だし全然いいんだけど、』
「え、マジで?」
『でも、まって。私、バレーのルールとか全然知らないから、役に立たないかも。あと、私でいいの? いつも女の子沢山連れてるのに...。』


懸念材料。
球技大会で見た時も、バレーボールはあんまりわかんなかった。
なんか、黒尾くんがボールをネット際でよく止めてたのはみたけど、どの線でアウトとか、どうやったら1点とか、全然。
そして、何故ご指名が私なのかわからない。
誰でもいいのなら、いつも一緒にお昼を食べているような女の子でもいいんじゃないのかな。


「あー、あいつらは、悪い奴らじゃねーんだけど、仕事ちゃんとやってくれるか...っていうか...。」


いつも一緒にいるのに、中々言うなあ。
いや、仲がいいから言えるのか。
でもわからなくはない。
黒尾くんの周りにいる女の子は、みんな良い子だし可愛いし、私も好きだ。
ただ、なんでも何となくこなすタイプ、というか。他校に行って、マネージャー業よりも他のバレー部のイケメンに積極的に話しかけに行ってしまいそうな。そんな感じは、なんとなく、する。
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