第10章 夏合宿後半戦
自主練に散り散りになるなか。
じっと怖い顔で、どこかを見つめる影山くん。
視線の先に...研磨くん?
そういえば、スガちゃんが、影山くんはコミュニケーション頑張ってる最中的なことを言ってたなぁ。
もしかして。
『...研磨くんに、話しかけたいの? 』
「!! 」
ビクッ!と肩を跳ねさせてしまった。
『ご、ごめん! 』
「あ、いや...っス。」
『研磨くんと話したいのかなって...。』
「...ウス。音駒のセッター、凄いっスね。いつからバレーやってたんですか。視線のフェイントどーやってんスか。」
『え、ちょっ、』
ちょっとまって!
それは私には分からない!
視線のフェイント? って何??
『研磨くんには、真っ向コミュニケーションがいいよ! 』
「...ウッス。」
難しそうな顔をする影山くん。
『研磨くーん。』
「...何? 」
帰ろうと思ったところを引き止めてしまって、少し不機嫌そう。
『影山くんがききたいことあるって! 』
「えー...いいけど...」
『ほら、影山くん! いっておいで? 』
「あっ...ザス。」
『真っ向コミュニケーションね? 』
「ウス! 」
ぺこりと頭を下げて、研磨くんのもとへ行く影山くん。
お節介だったかな?
あぁ、でもなんとか話せてる。
よかった。
そんな2人の様子を見て。
ぽつんと1人。
さて、どうしようかな。
潔ちゃんは、烏野のシンクロ攻撃の練習に付き合ってるし。
やっちゃんは、これから影山くんと練習みたいだし。
他のマネージャーも、それぞれの学校の練習に付き合ってる。
1人で夕ご飯に向かうのもなぁ...。
そう考えてると、
「いい先輩デスネ。」
『黒尾くん! 』
後ろからポン、と頭に手を乗せられる。
「研磨とセッターくんの面倒見てたんだろ? 」
『面倒なんてそんな...お節介やいたんだよ〜。』
好きだと自覚してしまったのに。
こんなふうに、自然とスキンシップをしてくるからずるい。
顔が赤くなる前にそっと離れる。
『黒尾くんは、これからどうするの? 』
「俺はこれから第3体育館〜。木兎のスパイク練だと。」
『へーっ。一緒に行ってもいい? 』
「いいデスヨ? 」
『ありがと! 全国5本指のスパイク練だ〜! 』
「そーデスネ。」