第9章 テストは学生の宿命であり宿敵
毎日の授業と小テスト。
放課後は、図書室がしまる7時まで、4人でテスト勉強。
「クロ〜! 部活ないでしょ? 遊び行こ〜! 」
「はぁ? おまえらテスト期間なのわかってんの? 」
「うちら進学希望じゃないし? 」
「クロいないとつまんないよ〜。」
「俺は勉強しないとダメなんデス。」
目の前で、仲の良い女の子からの誘いを断って、
「行くぞー、倉尾。」
『あ、うんっ』
私を優先させてくれていることが。
少しだけ、優越感というか、嬉しい。
「え、舞衣と勉強すんの? 」
「なに? 2人きり? 」
「ちっげーよ! バレー部で勉強してんの! テスト悪いと合宿行けないんデスーっ! 」
「キャハハ! クロ真面目〜! 」
「2人ともがんばってね〜! ばいばーいっ」
「へいへーい。」
賑やかな女の子たちに断りを入れて、私と一緒に図書室に向かってくれる黒尾くん。
私も彼女たちに『またね』と告げて、2人で歩く廊下。
『...黒尾くんは、人気者だねぇ。』
「そーか? 皆こんなもんだろ。」
『そんなことないよ。』
図書室では、いつの間にか隣に座るのが習慣になった。
恥ずかしさはまだあるけれど、それよりも点数をとることの方が大切。
隣に座る黒尾くんは、今日もノートに向かうと猫背になる。
衣替えをして、半袖の制服から除く腕は、ガッシリとしているけど少し色白。
隣に並ぶと、私の方が色が黒く見えるかなぁ。
中学の時、あまり日焼け止めを塗らずに部活をしていたことを、今更少し後悔する。
問題集を開いて。
少しずつわかるようになってきた問題に、頭を回転させて挑む。
これは、この公式を変形させて使って。
これは、答えに行くにはBとCの値が必要だから、そのためにまずAの値を求める。
これは、不定詞の前にくる言葉が決まってるからイが正解。
黒尾くんに教えてもらったことが、問題を解くと過ぎる。
出来る問題が増えてきて。
数学と英語でこの感覚は、なかなかない。
個人的な快挙。
それでもわからない問題は、また黒尾先生へ。
『黒尾くん...』
隣で自分の勉強をすすめている黒尾くんに、声をかける。