第9章 テストは学生の宿命であり宿敵
3人に心配させ、黒尾くんに手を煩わせてる...。
勉強、ちゃんと毎日コツコツしなきゃ。
心に誓います。
「はぁ〜? 俺が見てるから大丈夫デス〜。」
「お前、倉尾にすぐちょっかい出すだろ。」
「出してねーよ! 」
いつもどおりの言い合い。
ニコニコと見守る海。
「まあまあ。夜久も心配なんだよ。今回のテスト、ただのテストじゃないし? 」
「『え? 』」
海の言葉に、私と黒尾くんの声が被る。
どういうこと?
意味がわからない、という顔を、私も黒尾くんもしてたんだろう。
海が穏やかな顔で続ける。
「テスト、赤点だと補習だろ? 夏休みの最初の1週間。」
『うん。毎年だよね。』
「夏休みの最初の1週間、俺達には何がある? 」
『え? 合宿の続き? ......あ。』
「あ。」
「テストが赤点だと、合宿に行けないんだ。」
「烏野の二の舞だぞー。」
サッと血の気が引く。
やばい。
え、やばい。
『...やばいよ...。』
「だーかーら、2人でイチャついてサボってねーか見に来たんだよ。」
『いやイチャついてはない。けど...』
海はニコニコとこっちを見ている。
そして更に続ける。
「倉尾? 頑張らないとだよな? 」
ニコニコとしている。
しているのに。
笑ってない。これは笑ってないヤツだ。
いちばん怖いやつ。
「進学希望なのに3年で部活入って、ただでさえ担任になんか言われたんだろ? 」
『うっ』
そう。
言われた。
入部届を出した時。
今から部活なんて正気か的なことを言われた。
まぁ当たり前と言えば当たり前だ。
「そんなやつが、赤点で補習なんて。先生にも合わせる顔がないし、部員にも合宿で会うヤツらにも示しがつかないよな? 」
『...うぃっす...』
ああああ怖い。
海怖い。
委員会で、私と委員長がふざけすぎた時、1回こんなふうに怒られた。
あれ以来だ。
「なんで海怒ってんの? 」
やっくんがケロッとした表情で聞く。
「倉尾、夏休みの補習皆勤賞なんだよ。」
「「はぁ!? 」」
『ああああ!! 内緒にしたかったのに!! 』
特に黒尾くんに!!
知られたくなかった...。