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黒尾くんと同級生ちゃん

第9章 テストは学生の宿命であり宿敵


『...え? 』
「は? 」


自分の席に座りながら眠そうに、身体だけこっちに向けていた黒尾くんは驚いた顔をする。


「黒尾、得意だろ? 数学も英語も。」
「まぁ...嫌いじゃねーけど...」
『えっ、そうなの!?』
「おー...人並み? 」
「人並みじゃねーよ。」


割って入ってきたのはやっくん。
黒尾くんを指さして、


「こいつ、国数英の3科目なら学年で5番以内に入る。」
『うそ!? 』


衝撃の事実。


『ええ、恐れ多すぎる...。』
「倉尾は数学と英語からっきしだもんなー! 」
『やっくんうるさい...。』


黒尾くんに私の頭の悪さを露呈しなきゃいけないのかと思うと本当に申し訳ない。


『でも、黒尾くんだってテスト勉強あるのに申し訳ない...。』
「俺には頼んできただろ。」
『海はなんかその! 』
「俺でも黒尾でも変わらなく無いか? 」


同じバレー部だし、と海は付け加える。
確かに。
そうなんだけど。

ああでもなんだろう。
黒尾くんに頭が悪いと思われるのは、なんだか恥ずかしい気がする。


「...俺は別にいーけど。」
『えっ』


黒尾くんはそう呟いた。


『い、いいの? 本当に? 』
「おー。別にいーよ。」


なんてことない、といった様子の黒尾くん。


「んじゃ、放課後図書室なー。」


私があたふたしてるのなんか露知らず。
黒尾くんはそう言って、また机に突っ伏した。

え。
いいの?
本当に。

少しもやっとしたような、嬉しいような。
そんな感情を抱えた朝だった。
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