第8章 ガールズトーク イントゥーザナイト
やっくんとのほうが何倍も話すし。
海の方がずっと知ってるし。
「そもそもなんで誘われたの? 仲良かったからじゃないの? 」
『...なんでだろ。やっくんとかが言ったんじゃないかなー? ちょうど黒尾くんと席が前後で話すようになってた時だったから、バレー部3人と接点あったし...。』
「ええー...ほんとにそれだけ...」
腑に落ちない顔のかおりちゃん。
「でもさ〜、舞衣ちゃんはさ〜」
雪絵ちゃんは、布団にゴロゴロしながらおっとりした口調で。
「音駒の主将のこと、1ミリも何とも思ってないの〜? 」
なかなかぶっ込んだことをきいてきた。
『えっ』
1ミリも。
ないのか。
ないのか?
私の考えがまとまる前に、真子ちゃんの「やばいもう日付変わりそう! 」という声で、みんな時計を見る。
「え! やばい! 」
「アラームセットしたよね? 」
「消灯するよ! 」
「早く寝なきゃ! 」
「おやすみ〜」
バタバタとみんな布団に入り、あっという間に電気は消される。
私は1人布団に潜ったけど、雪絵ちゃんの言葉が頭をぐるぐるする。
黒尾くんのこと。
そんなふうに見た事はない。
ただ、背が高くて。席が近くて。
バレー部に入ってからは、話す機会も増えた。
あぁ、主将の顔は、ちょっと好き。
よく気が利いて、後輩のこともちゃんと見てて。
私に笑いかけてくれることが、嬉しい。
ん?
私だって、もう高校を卒業する歳だ。
今まで好きな人だっていたことあるし、彼氏が出来たこともある。
まあ高校入ってからは、勉強と友達と、あと最近は部活でそんなこと考えたこともなかったけど。
これはあれじゃない?
ふと考えて、すぐに思考を停止する。
いや。
そんなことはない。
そもそも黒尾くんは、私の事なんか眼中に無い。
あぁダメだ。
こんな事考えてたら寝れなくなる。
私は無理矢理考えるのをやめて。
布団にさらに潜って、暗い中目を閉じる。
明日も朝は早いんだから。