第8章 ガールズトーク イントゥーザナイト
「雪絵と木兎の大食い勝負は、今に始まったことじゃないからねー。1年の時からずっと。」
『へー...2人とも1年生からマネージャーやってるの? 』
「うん。」
「そだよ〜。」
「舞衣ちゃんは、今年入ってからなんだよね? なんで急に? 」
『あー...なんか、今年の初めに、うちの主将に誘われて...最初は臨時だったんだけど、その後本格的に入ったって感じかな? 』
「あ〜、音駒の主将、すごいセットだよね〜。」
突然雪絵ちゃんが発した髪の話題に、思わず吹き出してしまう。
「それ私も思った! 木兎くんと黒尾くん、いつ見ても頭すごいよねえ。どうやってるんだろ! 」
英里ちゃんが食い気味。
確かにあの髪型、どうなってるんだろう。
あのとさかヘッド。
「あとさあ...ずっと謎なんだけど、あの試合前のやつなに...輸血がどうの...? 」
『つっこまないであげて!! あれは私も驚いてる!! 』
どうしよ、他の人にも“あの音駒の血液の人”とか言われてたら...。
ユニフォームカラーも相まって余計にからかわれる。
「あれ、いつからやってるの? 」
『わかんない! 私が来た時にはもうやってた! 』
「みんなで考えたのかなあ...。」
『研磨くんは嫌がってるんだけどね...。』
「円陣の主役だもんね。」
「脳だもんね。」
『脳なんだよね。』
やっぱり血液どうのこうのには、女子が理解出来ない男の子だけの何か沸き立つものがあるのか。
いやでも研磨くん嫌がってたな。
黒尾くんの髪型を皮切りに、どんどん音駒の話になっていく。
「音駒の3年生、しっかりしてそうだよね。」
『そうかな? 』
「木兎が仕切ってるのとか見たことないもんね〜。」
「あと1年生にすごいイケメンいるよね! ハーフの! 」
『リエーフくんかな? 』
「あ、たしかそう! 」
音駒の話の流れだったのが半分だけど、
もう半分は、もしかしたら私に気を使ってくれたのかもしれない。
私がちゃんと輪の中に入れるように、促してくれたのかも。
「そういえばさ〜。」
雪絵ちゃんが、口を開く。
「舞衣ちゃんって、音駒の主将と付き合ってるの〜? 」