第7章 カレーに煮詰めた想い
「うちのマネージャー優秀なんデスー。俺が勧誘したんだけどなァ? 」
黒尾くんがニヤニヤと、意地の悪い顔で澤村くんに声をかける。
「いやいや、うちのマネージャーも優秀なんで。まあ俺が勧誘したけどな。」
澤村くん、冷静でどっしりしてるかと思いきや。
意外と突っかかっていくタイプなのか。
いや、黒尾くんが挑発上手なのか。
『はぁーい、バチバチしないでくださーい。みんな優秀ってことで〜。』
「ふふ。」
『お、潔ちゃんが笑った。』
2人をなだめ、カレーを口に運ぶ。
私の隣では日向くんと研磨くんが話していて。
人見知りせず、誰かと真っ向コミュニケーションしている研磨くんは珍しい。
「てゆーか、イワシ? なんでイワシなの? マネさん。」
黒尾くんがイワシを見ながら不思議そうに呟く。
『いやなんか...買出し班が買ってきた。』
「魚料理なんて珍しいな。」
そう言いながらパクリと食べた黒尾くん。
「...うめえ。」
漫画じゃないのに、目が少しキラキラして見える。
「...クロは魚好きだよ。」
『え、そうなの? 』
「うん。特に秋刀魚の塩焼きが好き。」
隣から、研磨くんが教えてくれる。
日向くんはいつの間にかどこかへ行っていた。
本当に風のよう。
「それ、舞衣ちゃんが味付けたんだよ。」
『ちょ、潔ちゃん! 』
「え、マジで!? 」
あんなに美味しそうな顔されると、なんか逆に恥ずかしくて言い出せなかったのに!!
「これ、倉尾が本当に作ったの? 」
『や...うん、まあ、味付けはだいたい...? 捌いたのはほとんど雪絵ちゃんだけど...』
「すっげえ...」
まるで小さい子のように、驚いた顔とキラキラした目で、魚を口に運ぶ黒尾くん。
『いやほんと、そんなことないから...。...でもまあ、喜んでもらえたなら良かった。』
「おう。すっげー喜んでる。マジでうまい。」
『ふふ、ありがと。』
少し照れくさいけど楽しい夕ご飯の時間。
作ってる時点でお腹いっぱいになってしまったと思ったけど、みんなで食べたご飯はそんなことも忘れるくらい別格に美味しかった。