第7章 カレーに煮詰めた想い
『ふふ、じゃあお言葉に甘えて。』
「「ドーゾー。」」
息ぴったりな2人のそばに座り、手を合わせる。
カレーをひとくち口に入れると、
『...美味しい。』
「ふふ、頑張って作った甲斐あるね。」
私の言葉に、隣で微笑んでくれる潔ちゃん。
「倉尾さんは、いつ正式にマネージャーになったの? 」
澤村くんが、相変わらず好青年の顔できいてくれた。
「この前烏野に来てくれた時は臨時だったよな? 」
『あ、そのすぐあとだよ! 何月だろ...』
私がそう言いかけたところで、私の後ろをヒュッと風が通った。
「けんまー!!」
「翔陽...。」
猫背でカレーを口に運んでいた研磨くんが、後ろを向く。
「こら日向!! 走るな!! 」
「す、スンマセンッ!!」
あ。
そうだ、烏野速攻コンビの。
『日向くん...』
「ふぁ!? 」
途端に赤くなる顔。
そういえば夕方頃、烏野の2人が到着したって。
布団を敷いてるときに、誰かが教えてくれた。
『...日向くん、顎すってたよね? 最後のフライングの時かな。大丈夫? 』
「えっ!? え、あ、え? だ、だ、いじょぶです! 」
そう。食堂で、夕ご飯の準備をし始めた時。食堂にやってきた日向くんが、痛そうに顎を抑えていて。
西谷くんに笑いながら心配されてた。
「日向。コレ。」
私の隣から背中の方を通り、潔ちゃんが日向くんへ腕を伸ばす。
手には絆創膏。
「あ、あざす!! 」
『潔ちゃん、すごーい。』
サッと絆創膏が出てくるあたり、女子力の鏡。
いや、マネージャーの鏡だ。
私も持ち歩こうかな...。
「...倉尾さんは、前もマネージャーとかやってたの? 」
『え? 』
何故だか少し驚いた顔の澤村くんが、私にきいてきた。
『いや全然。マネージャーやるのは、これが初めてだよ。』
「ええ、そうなのか...凄いなあ。」
『え? なにが? 』
「いや、よく見てるなあと思って...マネージャーも忙しいはずなのに...。」
『そうかな? たまたま目に入っただけだよ。』
だって本当にたまたま目に入っただけ。
そしてそれを覚えていただけ、なんだけどね。