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黒尾くんと同級生ちゃん

第1章 突然で偶然


それきり、黒尾くんとは話してなかった。
見かけたらつい目で追ってしまうけど、だからといって目が合うことは無い。

そして迎えた新学年。新学期。
教室に入ると、たまに見かけるとさか頭が、私の前の席に突っ伏していた。

眠ってるみたいだ。
朝練後かな。
今日始業式なのに、それでも練習あるのかな。
なんて、勝手にひとりで考えて、彼を起こさないようにそっとスクバを置く。

けど、カタン、という小さな音で、机に突っ伏していた彼の肩が少し揺れたのがわかった。


「んー...」


眠そうに、後ろに視線を向けてくる黒尾くん。


『あ、おはよう、黒尾くん。』
「ん、おー...倉尾さん...久しぶり〜。」


おはよう、の返事が、久しぶり、なんて不思議だ。
私はよく見てるからあんまり久しぶりな感じはしないけど、黒尾くんにとっては、私はあの日以来話していない同級生。
久しぶりに感じるのも無理はない。


「あーー...もしかして、後ろ? 席。」


軽く伸びをして、少し目が覚めたらしい黒尾くんは、私の方に半分身体を向けて聞いてきた。


『うん。ここだよ。1年間よろしく。』
「まじかよ。俺の後ろとか、黒板見える? 大丈夫? 」
『大丈夫。背低くないし、もし見えなかったらこっそり机ずらすから。』
「はは。んじゃまぁ適当にヨロシク。」


黒尾くんはそう言って、また机に突っ伏した。
と思ったら、規則正しい寝息が微かに聞こえる。もう寝たのか。
心の中で『お疲れ様』と言って、私も友達の席へ向かった。
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