第7章 カレーに煮詰めた想い
午後3時。
予定通り買い出し組が戻ってきて、バトンタッチ。
私と潔ちゃん、雪絵ちゃんは食堂へ向かう。
こんなに大きなところで料理をするのは初めてだった。
でも料理自体は嫌いじゃない。
「2人は、料理する〜? 」
控えめフリルがついたピンクのエプロンに身を包んだ雪絵ちゃんが、のんびりとした口調で聞いてくる。
『私は週に何回かなら作るよ。潔ちゃんは? 』
「私もそんなかな...あとは、烏野の合宿の時とかに任された時くらい...。」
「おぉ〜、それなら安心だねえ。」
『雪絵ちゃんはする? 』
「するけど食べる方が好きかなあ。」
「そういえば沢山食べるんでしょ? 」
「うんっ。食べるの大好き〜。」
おっとりと話す雪絵ちゃんは凄く可愛いけど、これでも大食いだそうだ。
食べる量は、梟谷の主将といい勝負なんだとか。
買出し班が用意した袋の中は、明らかにカレーが出来そうな食材。
それと、簡単なサラダくらいなら作れそうだなーって食材。
あと、
『...魚? 』
「イワシだねぇ。」
『イワシ...。』
何故だかイワシ。
「イワシ、私料理したことない...。」
「もちろん私も〜。」
『私もない...。』
けど、今は便利な時代だ。
1人1台スマホを持てるんだから。
私たちは早速、イワシを使った料理を調べる。
意外と色々出てくるもんだ。
イワシのつみれ煮、
イワシの甘露煮、
イワシのフライ、
イワシのソテー...
私たちが調べた中で1番手がかからなそうで、材料も少なくて済みそうなの。
『イワシの黒胡椒焼きにしよう。』
「そーだね〜。」
私達は早速、カレー・サラダ・そしてイワシの黒胡椒焼きをメニューとして定め、調理を開始した。
煮るのに時間のかかるカレーから。
そう思って材料を切り始めるも、その材料を切る行為すら時間がかかる。
『こんなに大量のジャガイモ、見るのも切るのも初めて...。』
「助っ人いるかな? 」
『あとで体育館に行ってみよっか。真子ちゃんとか英里ちゃんとか、来れそうなら来てくれるかも。』
「玉ねぎ目に染みる〜ひゃあ〜」
『あはは、頑張れーっ』
やることは多くて立ちっぱなしの動きっぱなしだけど。
和気藹々と作業は進む。
途中で様子を見に来てくれた、英里ちゃんも参加してくれて。
キッチンの中はさらに楽しく賑やかになる。
