第6章 夏合宿やるってよ
私が慌てて体育館に向かえば、みんなもう集まっていた。
『待たせてごめんね! 』と軽く謝罪をして、みんなの輪に入る。
午後は夕ご飯の準備があるから、練習には出たり抜けたり。
なるべくマネージャーの人手が減らないように気を配る。
「じゃあ、舞衣ちゃんと清水ちゃんと雪絵は調理でー」
「私買い出し行くよー」
「布団も敷きにまわらなきゃだよね? 」
「そうだった! 」
『夕ご飯の準備できたら、みんなでパパッとまわる? 』
「そーだね! 」
みんな、新参者の私にも優しい。気も利く。
そのおかげで、テキパキと物事が決まる。
学校行事とか、中学の部活とかとはまた違う雰囲気で楽しい。
しっかりもののかおりちゃんを筆頭に、マネージャーのスケジュールが決まった。
体育館の中は、もうほとんどの人が戻ってきていて。
私たちも、またそれぞれの学校のメンバーがいる所に戻る。
私は、赤いジャージの音駒の所へ。
『あ、黒尾くん。』
「んー? 」
『私、夕ご飯の用意する班になったから、3時くらいからちょっと抜けるかも。あとで猫又監督にも言っとくけど。』
「おー。りょーかい。」
「え!! 舞衣さんが作るんですか!! 」
ひょっこりと、私と黒尾くんの間に割って入ってきたのはリエーフくん。
社交的な性格で、私にもよく話しかけてくれる。
そのおかげか、今では3年生の次くらいによく話す。
『そーだよー 。』
「うおー! 楽しみだー! 」
190cm以上身長はあるくせに、喜び方はまるで小学生のよう。
弟みたいで可愛い。
『ふふ、ありがと。だからいっぱい動いてお腹空かせてきてね? 』
「大丈夫です!! もう腹減ってます!! 」
『それはちょっと早いかな...。』
「リエーーーフてめぇストレッチサボんじゃねえ!! 怪我するだろ!! 」
「いってぇ!!!!」
やっくんが更に私とリエーフくんの間に入って来て。
随分距離ができた、私と黒尾くんの間。
「おまえらうるせーよ!! 俺が話してんデスー! 」
「黒尾さん独り占めずるいっすよ!! 」
「独り占めじゃねーの! 今連絡聞いてたの! おまえはさっさとストレッチしてコートに入れ!! 」
リエーフくんを半ば強引にやっくんに引き渡す黒尾くん。
これから試合なのに、みんなそんな体力使って大丈夫なんだろうか。
