第6章 夏合宿やるってよ
インターハイ予選終了。
大きな目標が、ひとつ終わった。
あっという間だったなぁ。
文字通り、飛ぶように一瞬で過ぎていった。
“そっか...。”
『うん。なんか、もうこのまま案外スっと、勝てるんじゃないかなぁって思ったんだけどね。それが悪かったのかなぁー...。』
“そんなことないよ。”
珍しく力強い、潔ちゃんの否定。
“私達は、例え相手が優勝候補でも、終盤選手が絶望しても、私達だけは、最後まで、みんなの味方でいなきゃいけない。《勝ち》を信じ続けなきゃいけない。...と、思う...。”
最後まで。
みんなを信じて。
みんなの味方で。
『...そう...だね。』
“うん...。”
『さすが先輩だなぁ。』
“そんなことないよ! ”
潔ちゃんは、少しづつ明るくなってきて。
話せば話すほど可愛くて。
『そういえば、潔ちゃんが言ってた、男子高校生ノリ? うちもあったよ〜。』
“ほんとに? ”
「ほんとほんと! これかーって思った! 」
“ふふ。あれ、恥ずかしいよね。嬉しいんだけど。”
『そう、恥ずかしかったー! 嬉しいんだけどね? 』
潔ちゃんをチヤホヤとする、烏野のみんなの顔が浮かぶ。
私だって男子高校生だったら、絶対あの輪に入ってた。
“...音駒は、これからどうするの? ”
少しだけ、真面目なトーンに落ちた、潔ちゃんの声。
綺麗で透き通った音は、窓から見上げた夜空に混ざった気がした。
『これから...』
“春高、行く? ”
春高。
そうか。
出ると決めれば1月まで部活にいる。
決めなければ、ここで引退。
『...潔ちゃんは? 』
“私は...行きたい。皆で。でも、皆は...”
そう。
私も、まだここに居たい。
だけど。
海や、やっくんや、黒尾くんは、どうするんだろう。
『私も行きたいって思う。』
“うん。”
私の答えも、潔ちゃんの返事も、力強かった。