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黒尾くんと同級生ちゃん

第5章 放課後、音駒高校体育館にて


そこから先は、てんやわんや。

入部届けを書いたり、改めてコーチと監督に挨拶に行ったり。
今日の休み時間は、入部へのアレコレで全て潰れた。
昨日まで寂しがったり悩んだりしてたのが嘘みたいに目まぐるしく、放課後の体育館。

改めてみんなに挨拶をして、練習を見守る。

合同練習会のおかげで、そして潔ちゃんのおかげで、自分のやるべきことも少しづつわかってきた。
ただ練習の準備を手伝ったり、ドリンクとか備品の用意をするだけじゃなくて。
練習の時間を測ったりとか。
練習中や自主練のボール出しとか。
みんなが休憩に入ったタイミングで、コートの汗を拭いたりとか。
試合の記録とか。
意外とやることが多くて、頭も身体も思ったより動かさなきゃいけない。
最初見学に来た時はただ棒立ちだったり少し手を貸したりするだけだったけど、気を配れば配るほど、やらなきゃいけないこととかやった方がいいだろうなってことが増える。

潔ちゃん、よく1人で3年間もやってるなあ。
ふとそんな考えがよぎったけど。


「ボール見てから飛べよー! 」
「リエーフ腕ぶん回すんじゃねぇ!! 」
「レシーブ意識しろよー」


みんなの声と、ボールの音が響き渡る体育館を見渡して。
ああ、そうだね。
みんながいるから。みんなの想いを大切にしたいから。
何か力になりたいから。

きっと、そう思って、マネージャーを続けるんだね。


「倉尾、ちょっといいか? 」


話しかけてくれたのは、直井コーチ。


『はいっ』
「これ、配ってくれるか? 東京予選のトーナメントが出たんだ。」


そう言って渡された、紙の束。
トーナメント表って、想像出来るわりにはあまり実際のものを見たことがない。そういえば。
だから、自分がこの紙の中に、このトーナメントの中に、関わっているというのは、少し新鮮だ。


『わかりました。』
「色々気を回してくれて悪いな。」
『いえ。楽しいです。それに、もう正式にマネージャーなので。』
「そうだったな。頼んだぞー、うちの連中、クセ強いからなあ。」


そう言って、コーチは練習をしている輪の中に、集合をかける。

手にした紙の中。音駒の文字はすぐ見つけることが出来た。
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