• テキストサイズ

黒尾くんと同級生ちゃん

第5章 放課後、音駒高校体育館にて


私はコーチと監督の周りに集まったみんなに、トーナメント表を配る。
そして、1番後ろに座った。


「東京予選についてだが、今配ってもらったトーナメント表のとおりで...」


コーチから、話が始まる。
そうか。いよいよ始まるのか。夏のインターハイ予選。
3年生にとっての大会は、2種類あるって、いつだったか黒尾くんが教えてくれた。
夏のインターハイと、春の高校バレー大会・通称春高。
春高は1月だから3年生も出れるけど、受験も控えているし、3年生が出る高校もあれば出ない高校もある。
夏のインターハイは、全ての高校が3年生まで出る、どこの高校もいわば集大成の大会だ。

海とやっくんと黒尾くんは、春高までいるのかな。
いなければ、これが最後の大会になるのかな。

コーチから、大会についての注意事項とか、大会までの練習予定とかの話をされて、今日の部活はおしまい。

このあとは自主練の時間だ。


「倉尾さーん、ボールあげてくださーい! 」
「リエーフてめぇ逃げんな!! レシーブの練習が先だっつの!! 」


猫みたいな目だけど、人懐っこい笑顔で寄ってくるリエーフくん。
それを怒り心頭の顔で追いかけに来るやっくん。


『ふふ、レシーブ頑張って〜。』


ヒラヒラと手を降れば、「助けてください! 」と叫ぶリエーフくんと、リエーフくんに追いつき問答無用でレシーブ練習に引っ張っていくやっくん。
私は干していた練習用のビブスを片付けに、体育館のギャラリーへ登る。

みんなが頑張っている様子を上から眺めるの、少し好きかも。

体育館と反対側に目を向ければ、窓の外からは見慣れたプリン頭がてこてこと歩いているのが小さく見えた。
研磨くんだ。きっと。
相変わらず帰るの早いなぁ。

ボールと声とたまに怒声が響く賑やかな体育館。
戻ってこれてよかった。
正式に入れてよかったと、改めて思ったんだ。
/ 115ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp